博士のイヴ
靴下に入ってた、三冊の本
初めてのプレゼント
夢中でめくるページ
いつまでも、読みふけってた
真っ暗になった部屋で
幼き日々を、うとうと夢に見てた
カレンダーに目をやると
明かり点けて、部屋の外へ
いつもの店で夕飯をすませて、帰るだけ
だけど、踵を返して
恋人や、家族がみとれるイルミネーション
輝いて
街を歩く博士
小さなケーキを買って、帰るよ
わざとらしく
切らしてたコーヒーのことなんか気づいて
少し軽い足取りで、帰るよ
いつもの部屋へ
淋しくない、と言えば
嘘になるだろうし
人並みに劣っても
気になるような異性がいたことも
あったけれど
細身で無口な女の子が好きだった
だけど、数式の方が好き
出口のない恋心から火のついた時間を
灰皿の上、燃え尽きるまで
ただそこにいて、見てるよ
「孤独」という名の数式は、まだ解けない
だけど
少し軽い足取りで、帰るよ
いつもの部屋へ